hinohi_no
2016-01-05 23:18:49
585文字
Public トム関係
 

オールユー

あなたのために、世界を救った。あなたの命と、ひきかえに。

繰り返す二日のなかで彼女に何度も恋をして、何度も初めて会う顔をされて、何度も最初の出会いを繰り返す。守れない時間が重なって、同じことを気が狂いそうなだけ繰り返して、それでもケイジがこんなことを続けられたのは、強くありたいと願ったのは、彼女がいたから。彼女がつよくてうつくしいから。誇り高くて聡明だから。かなしみと絶望を知っているから。彼女のからだから体温がなくなる時に、何百回も、立ち会った。ひかりをうしなう瞳が、あたたかさをなくす体が、なにもかもが、絶望としか言えないもので。リタを救いたかった。そのためだけに気が狂いそうな世界で何度でも蘇った。彼女のはなしをきいた。故郷のはなし。家族のはなし。恋人のはなし。彼女とは同じはなしを繰り返してもよかった。いとおしかった。何度でも、いつまでも、このときが続けばいいと。……彼女さえ死ななきゃ、それでよかった。君がいないなら、何の意味もなかった。世界なんてどうだっていいと思った。彼女のいない世界なら、彼女のいる世界を永遠に生きる方がいいと、そう願った日があって。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。君は死ぬ。君は死んだ。君が僕の腕の中で。こんな世界をゆるさないと呪った。彼女のいない世界を、僕は、ゆるせないと。
それだけなのに、それだけだったのに、世界を救うために駆け抜けた、とある男のはなし。